ケブカスズメバチ

Vespa simillima simillima

<発見>

モンスズメバチの時には、気づかずにすぐ近くまで接近してしまった。

しかし、今度は10メートルも離れた所から巣を見つける事ができた。

晴れていたのと、巣が開放的な所に作られていたからだ。

巣は樹幹の地上1メートル位の所にあった。


ケブカスズメバチ

モンスズメバチの時と同じように、カメラのスイッチを入れて、少しずつ近づいた。

巣から3メートルくらいの所まで接近して撮影した。

肉眼で見る限り、腹部の縞模様に紋が無いように見えた。

しかし、後から写真を見ると、腹部に紋がある事がわかった。

モンスズメバチは肉眼で見ても、紋を確認する事ができた。


ケブカスズメバチ


もしかすると、モンスズメバチかもしれないと思い、後日、同じ巣を訪れた。

天気は曇ったり小雨が降ったりと良くない。

カメラを三脚にセットして巣から70センチの所に置いた。

私は、少し離れた所から見ていた。

三脚を置いてしばらくすると、十数頭の蜂がカメラに群がった。

私は驚いた。

生物ではないカメラに蜂が反応するなんて・・・・。

これでは、カメラに近づけないので写真を撮れない。

このままでは、カメラに群がる蜂がどんどん増えてゆく。

今や三脚のアームを齧っている蜂もいるのだ。

少しの間、考えてから決心した。

腰をかがめながら、ゆっくりと三脚に近づいた。

そーっと三脚の足をつかみ、急に三脚を頭上に上げて巣から逃げた。


頭上で蜂のブーンウォンウォンという羽音が聞こえた。

背中に蜂がぶつかってくるのを感じた。

しかし、そんな事には構わずに巣から一直線に走って遠ざかった。

20メートルも逃げると蜂は消えた。


あまり近づけないのだと思い、先日撮影した時と同じ所に三脚を置いた。

約3メートルの距離だ。

すると、一頭の蜂がカメラに取り付いて何かを調べているようだ。

カメラに近づこうとすると、蜂は私の方に正面を合わせ、ホバーリングしている。

これはまずいと思い、静かに遠ざかった。

すると、その蜂はカメラに止まって何か詮索しているようだ。

腰をかがめて近づき、そーっと三脚の足を持って急に頭上に持ち上げて逃げた。

この日は写真を撮る事をあきらめた。


この蜂はモンスズメバチに比べると随分敏感なようだ。

モンスズメバチは、巣の真上から覗いても威嚇してこなかった。

すぐに遠ざかった事もその理由の一つであろう。

しかし、モンスズメバチのページの一番下の写真の巣の脇に道がついており、

何度もその巣から2メートル程の所を通ったのに、一度も威嚇された事が無かった。


ケブカスズメバチ
マウスで書くと小学生みたいな字になる


蜂の本で調べると、ケブカスズメバチも腹に紋があり、

モンスズメバチよりも攻撃的である事がわかった。

モンスズメバチは閉鎖的な空間に巣を作り、下部は外被で覆われていない。

今回、私が見た蜂の巣は、下部も外被で覆われていた。

開放的な所に営巣していた事、

去年見たモンスズメバチよりも攻撃的であった事から

ケブカスズメバチである可能性が高い。

ケブカスズメバチは、キイロスズメバチと極めて近い種(亜種)であり、

オオスズメバチの次に攻撃的な種なのだそうだ。


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