ケブカスズメバチ

Vespa simillima simillima

<ハチ採りおじさん>

とにかく、寒くなるのを待って採りに行くことにした。

10月の中旬に気温が急に下って初雪が降り出した。

今がチャンスとばかりに、ハチの巣へ行った。

一番最初に見た時は、大勢のハチが巣の外に出て巣作りをしていたが

今は巣作りするハチはいない。

けれども、巣は2倍くらいの大きさになっている。

巣を良く見ると、巣穴からハチが出たり入ったりしているではないか。

こんなに寒くなってもハチは飛べるのだ。

前回は写真を撮れなかったので、

今回は、あまり近づかないようにして撮影した。


正面から見たところ

横から見たところ



数日後、低温続きでハチもまいっているだろうと思って巣を見に行った。

相変らず、ハチは元気だ。

それどころか、働きバチが私のところへ来て、私を詮索するように飛び回った。

羽音が攻撃する時の音でないことは、すぐにわかった。


しばらく観察を続けた後、森から出ると一人のおじさんに出会った。

「キノコですか?」と声をかけると、「スズメバチを採りに行くんだ」と言った。

私は内心、むっとした。

今までハチの子採るために観察を続けた苦労が報われないではないか!

私は何も言わずに、その場を離れて車に戻った。

すると、別の男が森に向かおうとしていた。

「さっき会った人がスズメバチを採るんだって。」

するとその男が「スズメバチが居ると危ないから採りに行くんだ」と言った。

ハチ採りおじさんの相棒のようだ。

私が「どうやって採るんですか」と聞くと、

「スプレーでやっつけてから採る」と言った。


帰る途中、車の中で考えた。

あの森は私の所有地ではないから、私に独占する権利はない。

でも、ハチ捕りおじさんに出会ったのは運が悪かった。

知らないうちに、採られていれば、こんなに気分を悪くすることもなかったのに。

例え大の男が二人掛かりでスプレーを持って立ち向かっても巣を採ることは

できないだろう。

今日も、働きバチが5メートルも離れた私を見つけて、詮索しに来たのだ。

返り討ちにあうのを恐れて止めてしまうだろう。

採れるはずがない。


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